企業が従業員の健康を守る時代へ

近年、日本では少子高齢化が急速に進み、生産年齢人口の減少による労働力の低下や、従業員の高齢化が深刻な問題となっています。また、働く環境の変化が従業員の体だけでなく心にも大きく影響を及ぼすようになりました。従業員の心身の健康に関する問題は、過労やうつによる従業員の自殺や労災訴訟など、連日多くのメディアで取り上げられているので皆さんもご存じのことでしょう。2015年にはストレスチェック制度が施行され、従業員のメンタルヘルス不調への対策が求められるようになりました。
こうした中、多くの企業では従業員の健康を守ることを重要視し、対応を進める動きが広がっています。そこで注目されているのが「健康経営」です。
従業員の健康管理は個人に任せるのではなく、企業の経営課題として捉え、投資として戦略的に取り組むことで様々なメリットが生まれます。さらにリスクマネジメントの一環としても健康経営は重要な役割を担うと言えます。

政府も推進する「健康経営」

健康経営についてご紹介します

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医学顧問

医学博士
笠木 伸平
みなと元町内科クリニック院長

2001年 神戸大学医学部医学科を卒業後、2011年まで内科医師、リウマチ膠原病専門医として病院勤務の傍ら神戸大学大学院医学系研究博士課程医科学科専攻を修了。2014年からは神戸大学医学部附属病院検査部副部長を務めている。2018年5月にみなと元町内科クリニックを開業する。

健康経営とは

健康経営とは、従業員の健康増進を重視し、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に取り組む経営手法です。1992年にアメリカで出版された「The Healthy Company」の著者で、経営学と心理学の専門家であるロバート・H・ローゼンが提唱した“健康な従業員こそが収益性の高い会社を作る”という概念に基づいているとされています。

日本で注目される背景

日本では2009年頃から大企業を中心に取り組みが始まっています。強いストレスを抱えたままの労働による長期休暇や離職、長時間残業やワンオペといった言葉に代表されるように、従業員の職場環境の悪化による自殺や過労死など、労働災害としての実害やリスクが顕在化してきたことが背景のひとつとして挙げられます。また、健康保険の赤字額の補填による企業の負担増加も健康経営が注目される理由のひとつです。従業員が健康であれば企業が負担すべき医療費は削減されます。社会の高齢化が進み、且つ労働生産性が低い現代の日本では、従業員の健康増進がより重要視されるようになっているのです。

政府主体の取り組み ―健康経営優良法人―

健康経営については政府も積極的に取り組む姿勢を見せており、経済産業省は東京証券取引所と共同で、健康経営に優れた企業を「健康経営銘柄」として選定し、公表しています。選定にあたっては下記の観点から評価が行われています。
  • 健康経営が経営理念・方針に位置付けられているか
  • 健康経営に取り組むための組織体制が構築されているか
  • 健康経営に取り組むための制度があり、施策が実行されているか
  • 健康経営の取組を評価し、改善に取り組んでいるか
  • 法令を遵守しているか
また、2017年からは非上場企業や医療法人を対象とした「健康経営優良法人認定制度」が新たに追加されました。これは地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度で、大規模法人部門(ホワイト500)と中小規模法人部門の2つの部門により、それぞれ認定されています。制度開始から2回目の認定となった「健康経営優良法人2018」では、大規模法人部門(ホワイト500)に541法人、中小規模法人部門に776法人が認定されました。(平成30年2月20日認定)
健康経営優良法人認定制度(経済産業省)

導入のメリット

健康経営を導入し、従業員の健康を増進することで様々な効果が期待できます。短期的には疾病の従業員の長期休業の予防、生産性の向上、企業の医療費負担の軽減、企業のイメージアップなどがあり、長期的には企業の退職者に対する高齢者医療費負担の軽減、従業員の健康寿命の長期化が見込めます。

1.生産性の向上

生産性の向上を考える際に重要なのがプレゼンティーズムという言葉です。プレゼンティーズムは疾病就業と訳されるように、出勤している従業員が何らかの不調が理由でパフォーマンスが低下している状態を指しています。ここでの不調とは、胃痛や頭痛、肩こり、風邪気味や花粉症、睡眠不足などのことです。また、似た意味の言葉でアブセンティーズムがあります。こちらは欠勤や早退などで業務に就けないこと、それによる生産性の低下を指しています。従業員が両者のいずれかに陥っている場合、他の従業員の負担が増す恐れもあります。 心身ともに健康な状態で働ける環境は従業員のモチベーションアップ、そして生産性の向上につながります。

2.リスクマネジメント

心身に何らかの不調を抱えたまま勤務を続けると生産性が低下するだけでなく、怪我をしたり病気になる可能性が高くなります。そうすると、労災費用や企業の医療費負担、長期入院や死亡してしまったとなると新たな人材の確保が必要になるなど、様々なコストが発生します。そして最悪の場合、訴訟といった企業を揺るがす重大な問題になりかねません。「労働安全衛生法」や「労働契約法」の中でも従業員の健康への配慮は企業の義務であるとうたわれているように、安全配慮義務を果たす上でも健康経営は有効な取り組みになります。

3.医療費負担の軽減

病気などで従業員が健康を害した場合、通院や入院が必要になります。この際に使われる健康保険料は企業が負担しなくてはなりません。 健康で病気にならなければ当然病院に行く必要もありません。健康な従業員が多くなると、将来的に健康保険料の負担が軽減されるのです。

4.企業のイメージ向上

健康経営に取り組んでいる企業は、従業員を大切にする・働きやすいといった良い印象を与えます。政府が行っている健康経営優良法人認定制度では、特に優良な健康経営を行っている企業が顕彰され、ロゴマークが使用ができるようになります。健康経営を行っている企業ということが見えるようになることで、求職者からの印象が良くなり、採用活動に良い影響がもたらされます。さらに関係企業や金融機関などからも評価され、社会的な信頼度も高まり、企業の収益アップにつながることが予想されます。

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